ニコン ザ・ワークス Vol.42 ナノクリスタルコート
2008-02-08


ニコン製品の開発秘話や裏話など、ニコンのスタッフの熱い想いを語る、「ザ・ワークス」の42回目はナノクリスタルコートだ。
ワークス Vol.42 ナノクリスタルコート(ニコン)

田中 「ゴーストは、強い光の対角線上に暗い部分があると目立ちやすいレンズの反射現象です。反射を抑えるためにレンズのコーティングを施しますが、ゴーストやフレアは、従来の技術では完全には拭いきれない難題でした。一般的なコートレンズは、表面が緑色に見えたり、青色に見えたりします。これはそれぞれ緑色の波長の光、青色の波長の光を反射する、つまりこの色の波長の反射が残っているというコーティングの波長特性によるものです。そして、もっとも難しいのが斜めに入る光の反射防止なんです。従来のコーティングは、垂直入射に対してはある程度効果が得られても、入射角の大きい光には非常に弱いという特性があります(=角度特性の不足)。レンズをギリギリに傾けて斜めから見るとわかりますが、普通のガラス板のように反射してしまいます。ここにあるサンプルで見比べるとよく分かりますが、ナノクリスタルコートを施したものは、ガラス板が14枚も入っているようには見えないでしょう。14枚ということは反射面が28面あるのですが、レンズを傾けても光の反射はほとんど変化しません。」

うう、すごいなぁ。でも比較は、ナノクリスタルコートとコーティングなしとじゃなくて、ナノクリスタルコートと従来のコーティング(SIC-ニコンスーパーインテグレーテッドコーティング)との間でやってほしかった。

もっとも、ナノクリスタルコート採用の2008年3月発売予定のAF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G EDにしても、全面がナノクリスタルコートなのではないようだ。

ナノクリスタルコート、ニコンスーパーインテグレーテッドコーティングによりゴーストやフレアーを軽減し、優れた色再現と豊かな階調表現を実現
[URL]

と書いてあるからだ。

田中 「私も昔からカメラが趣味で、赤いゴーストが出やすく気になるレンズが一本ありました。そこで村田にかなり無理を言って、“このレンズにコートをつけて”とお願いしたのです。特にゴーストが出やすい2面にコーティングして、実際に撮影したら、目立っていた赤いゴーストが薄く青くなって、ほとんど目立たなくなっていた。“これはすごい!”と、上司に報告したところ、上司が製造部門など関係部署に“これはすごいことだ”と宣伝して回ったのです」

あうー、まさに赤いゴーストが周辺に出るリコーGR DIGITAL(II)用のテレコンバージョンレンズGT-1にも是非ナノクリスタルコートをお願いします(笑)。手持ちのレンズ持ち込んだら、ナノクリスタルコートを施してくれるサービスとかやってくれないかなぁ。しかもメーカー問わずとか(笑)。SIGMA High-speed Wide 28mm F1.8 Aspherical(I型)とかナノクリスタルコートにしたら結構いいと思うんだけどなぁ(笑)。まあそんなサービスするわけないが。

冗談はさておき、ナノクリスタルコート、現行のマニュアルフォーカス(MF)ニッコールレンズやAF単焦点レンズにも採用してもらえないだろうか。かつてこっそりしかし全部のレンズをニコンスーパーインテグレーテッドコーティングに変えたように(1996年ごろ変更完了をアナウンス)。MFレンズが新品で売れますぞ。そうか、利幅の少ないMFレンズはあまり売れて欲しくないのかな(笑)。

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