国民が「いざなぎ越え」景気を実感できない理由(森永卓郎)
2006-11-15


今回もカメラネタじゃなくてすまん。しかし、個人の懐具合は写真趣味にも影響するのでお許しを。

国民が「いざなぎ越え」景気を実感できない理由(構造改革をどう生きるか第57回:森永卓郎氏)
で森永卓郎氏が重要な指摘をしている。

だが、一般の国民は本当に景気拡大を実感しているだろうか。おそらく、これをお読みになっている人の9割以上は「ノー」と答えるに違いない。それはなぜか。

国民が景気拡大を実感できない理由は、大きく分けて二つある。

一つは、成果が勤労者(サラリーマン)に分配されていないことだ。これは、数字にはっきりと表れている。

(中略)

今回の景気回復は、単に回復力が弱いというだけではない。いざなぎ景気では、日本国中の多くの人に成果が行き渡ったのに対して、今回の景気回復で恩恵にあずかっているのは、労働者でなく資本家、地方でなく大都市、中小企業でなく大企業なのだ。

この景気拡大に、あえて名前を付けるとすれば「格差景気」というのがぴったりだろう。

国民が景気拡大を実感できないもう一つの理由は「税制」である。

今回の景気拡大の間、2002年度から2006年度において、個人に対してどれだけ増税があったか覚えているだろうか。配偶者特別控除の廃止、老年者控除の廃止、定率減税の半減、これだけで3.9兆円の大増税である。しかも、定率減税は、全面廃止に向けて動いている。

それだけではない。たばこや発泡酒の税金も2度にわたって引き上げられた。さらに、厚生年金保険料や健康保険料も上がり続けている。

国税庁の「民間給与の実態」によれば、サラリーマンの年収は昨年まで8年連続で下がっている。そのなかで、税金が上がり、社会保険料が上がっていくのだから、庶民に景気回復の実感などあるはずがない。

一方、法人課税は、その間に1.4兆円も減税された。しかも、上場株式の売却益に対する税率は、2003年から10%に引き下げられている。汗水垂らして働いた人びとの税金を増やす一方で、株を売り買いして濡れ手に粟の金儲けをしている面々の税金は下がっているのである。これほど理不尽なことがあるだろうか。

これに飽き足らずに、経済財政諮問会議は、法人に対するさらなる減税の検討を始めているというから驚きだ。

だが、そんな政策にもかかわらず、内閣支持率は60%を超えている。果たして、日本人にはそんなに金持ちが多かったのだろうか。さもなくば、日本人はよほどのお人好しであるというしかない。

次の参議院選挙で与党を勝たせると大変なことになると私は思っている。
第56回 「サブマリン」内閣が浮上したとき日本に何が起きる(森永卓郎)参照

[その他]

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