Ai Nikkor 135mm F2.8とAi Nikkor 135mm F3.5の比較(スペック編)
2007-08-07


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Ai Nikkor 135mm F2.8の続き。Ai Nikkor 135mm F3.5との比較をしていきたい。とはいっても実写比較はすぐにはできないので(時間がない上にフィルムカメラしかない)、とりあえずスペックの比較をしていきたい。

Nikkor 135mm F3.5はニコンが一眼レフを初めて世に出したときの最初の3本のうちの1本で長い歴史がある(1959年6月〜)。Nikkor 135mm F2.8は70年代に入ってからラインナップに加わった。そしてF3.5とF2.8は10年近く併売されていた。ほかにはNikkor 135mm F2もあるので、3種類、ベローズ用の135mm F4も加えると4種類も同じ焦点距離のレンズがラインアップされていたわけだ。それで、F3.5とF2.8とが併売されていた理由が気になる(どうでもいいといえばどうでもいいのだが-笑)。

項目 Ai Nikkor 135mm F2.8 Ai Nikkor 135mm F3.5
レンズ構成 4群5枚 4群4枚
絞り羽根枚数 7枚 7枚
最小絞り 32 32
最短撮影距離 1.3m 1.3m
質量 430g 400g
最大径×長さ 64.5×83.5mm 65×81.5mm
フィルター径 52mm 52mm
フード 本体組み込み 本体組み込み
価格 41,000円(1977年) 31,000円(1977年)

この2つのレンズ、大きさ・重さはほとんど変わらない。とすれば、スペック上の大きな違いは、F値以外には価格ということか。1977年当時の1万円の違いは今よりも大きかったと思われる。そしてよくあることなのだが、F値の暗いレンズの方がシャープだとすれば、明るさの必要のない場合にはF3.5の方がコストパフォーマンスが高い、と。

「ニッコール千夜一夜物語」のニコンのレンズ設計者・佐藤治夫氏は、「安価なレンズにこそニッコール魂が宿る」といわれています。

今も昔も、廉価版レンズの商品化で問題になるのは、性能と価格のバランスです。日本には "安かろう、悪かろう" という言葉があります。巷の安価な商品の中には、コストを下げるために、あたかも品質も下げてしまったかに見える商品もあります。皆が期待を裏切られた時、こんな言葉を口にしたのです。しかし、ニコンのモノ作りは、この言葉とは全く逆の発想です。昔からニコンには "広く世間の人に使っていただく廉価版商品は、上位機種にも勝るとも劣らない性能を有していなければならない。" という心意気ともいえる考え方があります。なぜなら、低価格商品はコンシューマー層のお客様の殆どが手にする商品になるわけです。それがレンズの場合、その1本の廉価版ニッコールレンズの品質こそが、全てのニッコールの品質を代表していると思われてしまうからです。多くのお客様に満足していただくには、開発者が一生懸命に知恵を絞って、価格と性能を両立させなければなりません。それは最高級品を開発するよりも、ある意味難しい試練なのです。そんな、時代を超えた開発者の思いが、このレンズに宿っていました。まさに、ニッコールの名と共に脈々と受け継がれている設計思想に他ならないのです。
第二十一夜 Nikkor-T 10.5cm F4〜安価なレンズにこそニッコール魂が宿る〜

Ai Nikkor 135mm F3.5とAi Nikkor 135mm F2.8、ますます実写で比較しなければならないことになってきた(笑)。

写真は、左がAi Nikkor 135mm F2.8で、右がAi Nikkor 135mm F3.5。

【関連:2007年8月17日追記】
Ai Nikkor 135mm F2.8とAi Nikkor 135mm F3.5の比較(外観編)

[ニコン]
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