ソニーのα700を銀座のソニービルでCarl Zeiss Planar T* 1.4/85 ZAとともに触らせてもらった話はこのBlogのどこかに(笑)ちょっとだけ書いた。そのときは、ピントが分かりにくいことで定評のあるプラナー85mm F1.4だったことと標準スクリーンだったので、αシリーズのフォーカシングスクリーンのよさを堪能できなかった。
ソニーは昨日、α700のカスタマイズフォーカシングスクリーンを発表したそうだ。
ソニー、α700用のカスタマイズフォーカシングスクリーン〜全面マットと方眼マットを用意(デジカメWATCH)
どうやら、標準スクリーンとM型とL型は、スクリーンの拡散特性が違うようだ。
M型は標準スクリーンと同じく全面マットで、スーパースフェリカルアキュートマットを採用する。拡散特性が高く、ピントの山やボケ具合をつかみやすいため、開放F1.4〜2.8クラスの大口径レンズをマニュアルフォーカスで使用するユーザーに向くとしている。α700のスクリーンが、ニコンのスクリーンのようにユーザーが自分で交換できないのは、型によってスクリーンの拡散性が異なるからだろう。ニコンF3のようにボディ底部で測光しているような機種だとスクリーンに行く光は露出計に関係ないのでどのようなスクリーンを使おうが内蔵露出計の測光に影響しない。極端な話、ニコンF3はファインダーを外してスクリーンを外してもAEできる。もちろん上から光が入って邪魔しないということが前提だが。ニコンF3にF4のスクリーンをつけて問題なく使えるのもこのためである。
しかし、多くの機種のようにスクリーンを透過後の光を測光に使っている場合は、スクリーンの拡散性に合わせて露出計を調整してあるため、拡散性が異なるスクリーンに交換するとそれを調整しなければいけなくなる。ソニーがメーカーでしか交換できないようにしているのは、交換時に露出計の調整もしているからであろう。
ただ、スクリーン透過後の光を測光しているニコンF4の場合(*)、ファインダーに「ファインダースクリーン露出補正ダイヤル」というものがあり、スクリーン交換にともなって補正できるようになっている。しかし、こういう補正の場合は、標準のスクリーンと、特殊なスクリーンの特性が比例している場合はいいが、アキュートマットのようにあるF値からは急に暗くなるといった特性を持つ場合には使えない。またマルチパターン測光にもあまり適さない。だから、ソニーはメーカーで交換にしていると推測する。
(*)また、ニコンF5の場合は、カスタムセッティングのNo.18 でファインダースクリーンの明るさ補正ができる。C型、G1〜G4型、U型の場合に補正する。
しかし、スクリーンの種類が3種類しかないのであれば、最初からそれぞれの測光アルゴリズムを搭載しておいて(これは搭載されているはず)、スクリーンを自分で交換すると、カメラが自動的にどのタイプのスクリーンかを検知して、そのスクリーンの特性に合ったアルゴリズムを選択するようにすればいいと思うのだが、作るのが面倒だったりコストアップが嫌なのだろうか。ファインダースクリーンは守備範囲があって、完全に万能というものがないから、交換できるようになっている。ひとによっても好みも違う(わたしはスプリットよりはマイクロプリズムの方が好き)。だから、このαの素晴らしいスクリーンは自分で即座に交換できるようになっていればいいのになぁ、と思う。フラッグシップに期待してみよう。
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